コード進行講座・理論編
今回はテクニック集というより、用語と仕組みの解説がメインです。
参考曲も出てこないので、理論寄りで少し地味かもしれません。
辞書のように、必要になったら読み返してもらえたら。
テーマは1つ:「なぜドミソが基本の和音なのか」を、
振動数の比率と五度圏という2つの視点から深掘りします。
完全5度でつなげていくと、12回でちょうど元のドに戻ってきます。これが「五度圏」です。
🔊 このページはところどころ音が鳴ります。音量にご注意ください。
コード(和音)は、複数の高さの音を同時に鳴らして作る響きです。もっとも基本となるコードは、Root(ルート)・3rd(サード)・5th(フィフス)という3つの音でできています。
ドミソの「ド」
コードの土台となる音。「このコードは何のコードか」という名前を決める係です。
ドミソの「ミ」
コードの明るさ・暗さを決める音。ルートから
長3度(ミ)ならメジャー、
短3度(ミのb)ならマイナーになります。
ドミソの「ソ」
コードの安定感や厚みを支える音。主張しませんが、響きの土台を広げています。
主張しないというより、土台(Root)と音が似すぎてて聞こえないのかも...
つまり、Rootが名前を決め、3rdが性格を決め、5thが響きを支える、という役割分担です。
Cコードは「ド・ミ・ソ」=「C・E・G」でできています。今まではドレミ表記で説明してきましたが、これから先は実音のアルファベット表記(C, D, E…)を使う場面が多くなるので、ここで対応関係を確認しておきましょう。
音は一定の速さで振動しています。例えばラ(A4)なら1秒間に440回振動(440Hz)しています。
2つの音を同時に鳴らしたとき、振動数の比率が2:1や3:2のような単純な整数比だと
波がきれいに重なり、心地よい響きになります。
逆に比率が複雑だと波がぶつかりやすく、
緊張感のある響きになります。
ドを基準に、ドレミファソラシドそれぞれとの比率を比べてみましょう。気になる音は再生ボタンでルート(ド)と一緒に鳴らして、実際の響きを確認できます。
| 度数 | 音 | 比率 | 特徴 | 試聴 |
|---|---|---|---|---|
| 完全1度 | ド (C) | 1 : 1 | 同じ音。完全に一致する。 | |
| 長2度 | レ (D) | 9 : 8 | やや複雑。少し緊張感がある。 | |
| 長3度 | ミ (E) | 5 : 4 | メジャーコードを作る協和音。 | |
| 完全4度 | ファ (F) | 4 : 3 | 安定した協和音。 | |
| 完全5度 | ソ (G) | 3 : 2 | オクターブに次いで最も安定。 | |
| 長6度 | ラ (A) | 5 : 3 | 比較的安定。 | |
| 長7度 | シ (B) | 15 : 8 | 複雑。強い解決感を欲しくなる。 | |
| 完全8度 | ド (C) | 2 : 1 | オクターブ。同じ音として感じられる。 |
※再生ボタンは分かりやすさのため、表の比率どおりの「純正律」で鳴らしています。実際の楽器の多くは平均律で調律されているため、聞こえ方はここまでくっきりとは違いません。
ド・ミ・ソの比率をまとめると…
という、とても単純な整数比の組み合わせになります。だからこの3音は安定して響き、基本のコードになったのかもしれません。
上の表を見ると分かるとおり、「音程が近い=響きの相性がいい」とは限りません。
ドとレは鍵盤の上では隣り合っていますが、比率は9:8とやや複雑。
オクターブを除いて一番単純な比率を持つのは、完全5度(ド:ソ、3:2)でした。
そこで、音を鍵盤の並び順(ドレミファ…)ではなく、響きの近さ(5度)でつなげてみます。
ド→ソ→レ(ソの5度上)→ラ(レの5度上)……と進めていくと、12回で
ぐるりと元のドに帰ってきます。気持ちいいですね。この輪を「五度圏(Circle of Fifths)」と呼び、
音やコードのつながりを見るのにとても役立ちます。
まわりの音を押すと、その音が鳴って、その調で使う7音がハイライトされます。
五度圏で調を選ぶと、その調のスケールがここでハイライトされます。鍵盤を押すと音を確認できます。
調として見たとき、Cから時計回りに見ていくと、♯(シャープ)が
1つずつ増えていくのが分かります。
Key=Gは♯が1つ、Key=Dは♯が2つ…と、時計回りに進むとその調で使う♯が増えていきます。
調号(♯や♭)の数があまり違わない=共有している音が多いということなので、
五度圏で近い者同士(C↔Gなど)の調は、移動しても違和感が少ないです。逆に調号が離れている調、
例えばCとBは共有している音がほとんどなく、移動したときの違和感が大きくなります
(その分、転調した時の衝撃は大きいとも言えますね)。
※厳密には、純正な完全5度(2:3の比率)を12回積み重ねても、理論上はほんの少しだけ元のドとズレます
(ピタゴラスコンマと呼ばれる誤差)。実際の楽器は平均律でこのズレを均等に散らして調律しているので、
気にせず使って大丈夫です。
ちなみに、内側にAm、Em、Bm..とマイナー調の五度圏が書かれていますが、
Cメジャースケール(ドレミファソラシド)と、Aマイナースケール(ラシドレミファソラ)は、
スケールとして出てくる音が同じ(調号が同じ)なので、このようにセットで内側に書いています。
この同じ音調号の、メジャー/マイナー違いの調を、平行調と呼びますが、詳しくはまたどこかで...
Iメジャーの調とviマイナーの調は、一つのセットになってるとだけ覚えておいてください。
Cのまわりを見てみましょう。
五度圏の中で、F→C→G→D→A→E→Bの7音がひとかたまりになっています。
Fから時計回りにBまでの7音(F・C・G・D・A・E・B)は、そのままCメジャースケール
(ドレミファソラシ)そのもの。この7音のかたまりを五度圏上で時計回りに1つずらすと
(Fが抜けてF♯が入る)、そのままKey=Gで使う音に早変わりします。
上の五度圏で確認した調号の変化ともぴったり一致していますね。
トニック・サブドミナント・ドミナントの意味をおさらいしたい方は 「コード進行ってなに?」 をどうぞ。
トニック・サブドミナント・ドミナントも、五度圏の上に並べてみると関係がよく見えてきます。
Key=Cのまわりだけを拡大してみましょう。
塗りつぶし=メジャーコード / 枠だけ=マイナーコード /
色はトニック(青緑)・サブドミナント(紫)・ドミナント(珊瑚色)
マイナーコードまで含めると、CのまわりだけでちょうどC F G Am Dm Emの6つができています。五度圏で距離が近いコードほど、同じ調でよく一緒に使われる仲間、というわけです。
GからCへ、五度圏を反時計回りに進むのが、前回学んだドミナントモーションです。
ii-V7-I(Dm-G7-C)も、D→G→Cとずっと反時計回りに進んでいるのが見えると思います。
ドミナントモーションしたい先を探すときは、五度圏を見ればすぐ見つけられて楽ですよ。
7thやセカンダリードミナントについては 「7th とセカンダリードミナント」 で詳しく解説しています。
理屈が分かってきたら、あとは手を動かして試してみるのが一番。
Okojo Chordsで作ってみる →コード進行の基本や、7th・セカンダリードミナントをおさらいしたいときは、こちら。
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